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ふることふみにようこそ! カウンター人目の訪問者です。参考文献、引用等は、水谷清 先生 著 古事記大講 です。

ふることふみ(古事記)

あめつち はじめ おこるのとき たかあまはら に なりませる かみの みなは あめのみなかぬしのかみ

45-2

八熱(はちねっ)地獄

(1)等活(とうかつ)地獄

 殺生の罪を犯した者が落ちる所で、互いに常に善心を懐き、出会えば、磨き立てた鉄の爪で互いに眼を拒み、肉を引き裂き、血流れて、肉尽きて骨だけが残る。或いは獄率(罪人を苛責する鬼)に鉄棒で全身を打ち砕かれ、砂粒のようになり、或いは利刀で肉を切り刻まれて、バラバラにされる。しかし涼しい風が吹き来ると、蘇って本の形となり、またたちまちにして前のような苦を受け続けるのである。

(2)黒縄(こくじょう)地獄
 等活地獄の下にあって、殺生・楡盗の者が落ちる所である。獄卒は罪人を掩らえては、熱鉄の地に打ち伏せ、熱鉄の縄で縦横に線を引き、その像に従って熱鉄の斧で切り裂き、或いぼ鋸で引き切り、或いは刀で腸を抉り出し、百千に段切して、其処彼処に撒き散らす。又熱鉄の縄を張り巡らせた中へ逃げ込めば、悪風吹き荒れて、熱鉄の縄はその身にまとわりつき、肉を焼き、骨を焦がす。又山と山との間に細を張り渡し、重荷を背負わせて渡らせる。その下にはくらくらと煮えくりかえった大釜があり、落ちると煮られて骨まで蕩けるのである。また蘇っては同じことを繰り返すのである。
(3)衆合(しゅごう)地獄
 黒縄地獄の下にあって、殺生・偸盗・邪淫の者が落ちる所で、ここには相向かい合った鉄の山が沢山ある。牛頭馬頭等の獄卒たちが、色々の責め道具を持って、罪人を追い掛け廻す。山と山の聞に逃げ込むと、両方の山が動いて迫り寄り合わさって、身体は押し潰されて血の海となる。また赤熱の嘴を持つ鷲につつかれて血だらけとなる。葉が刀になった林に入っては切り刻まれて血みどろとなる。
(4)叫喚(きょうかん)地獄
 衆合地獄の下にあって、殺生・愉盗・邪淫・飲酒の罪の者が落ちる所である。獄率の眼からは火炎が出で、赤色の衣を着て、手足は太く逞しく、風のように走る。その息遺いは荒々しく、口からは凄まじい悪罵の声を出して、罪人を射殺すこと矢の如し。罪人は恐れおののいて憐れみを乞うが、いよいよ怒りを増して、鉄棒で頭を打ち据え、熱鉄の地の上を走らせる。或いは猛火の鉄室に入れられ、燃え上がる熱火の上でひっくり返しては焙り焼かれ、熱湯の沸き返っている大釜に投げ入れられてはぐっぐっと煮殺される。死んでも死んでも蘇ってまた同じことを繰り返すのである。

45一3

(5)大叫喚(だいきょうかん)地獄
 衆合地獄の下にあり、殺生・偸盗・邪淫・飲酒・妄語の罪の者が落ちる。前の四つの地獄の一切の苦の十倍の苦を受ける。ここでの一日の苦は、人間界で640万年苦しむのに匹敵するという。熱鉄の針で口と音とを一つに刺し貫かれて、泣き叫ぶこともできない。
獄率は熱鉄のやっとこで、罪人の舌を抜き、両眼をも同じように抜く。

(6)焦熱(しようねつ)地獄
 大叫喚地獄の下にある。この焦熱地獄の火は蛍ほどの火を閻浮提(人闘世界)に置くだけでも、わずか一時の闇に悉くを焚き尽くすほどの熾烈なものである。この熾烈な熱鉄の猛火が四方より燃え盛り、罪人の身体を一身百咳皆悉く焼き尽くす。そうすると再び身体は復活し、また同じように焼き滅ぼされるのである。これが際限なく繰り返される。

(7)大焦熱(だいしょうねっ)地獄 1''
焦熱地獄の下にある。ここでは前の六つの地獄の一切の苦の十倍の苦を受ける。

(8)無間(むげん)地獄〔または阿鼻(あび)地獄ともいう〕
 大焦熱地獄の下にあり、休む暇の無い絶え間の無い極苦の地獄で、欲界の果ての底である。五逆罪(父を殺す・母を殺す・阿羅漢を殺す・仏の身体を損害して出血させる・教団の和合一致を破壊分裂'させる)のほかに、大乗を誹誇した者が落ちるという。一切の地には極悪人が充ち満ちて、唯一人の友も無い。真っ暗闇の世界で月目の光を見ることもできない。八万四千の怪鳥の嘴からは火が吹き出し、雨のように降ってくる。屍糞泥の中に入ると、無数のヒクダという虫が、皮を穿ち、肉に入り、筋を断ち切り、骨に入り、髄を取って食べる。屍糞泥から出ると、利刀剣の刃で出来た道がある。足を下ろせぱ忽にして皮肉筋悉くが切れ爛れる。七重の鉄球があり、銅が沸いて罪人を焚き殺す。死んでもすぐに 蘇り、また同じ苦を受け、瞬時として著しみから逃れることができないのである。

 八寒(はちかん)地獄

八種の氷攻めの地獄で、この中の最も重い地獄を大紅蓮(だいぐれん)地獄という。ここは氷の岩の中に押し込められた罪人の身体が、寒さのために血管が裂けて血が飛び出し、全身がざくろの実のように爆ぜ返り、ちょうど紅の蓮華の花びらのような有り様になる。

 過去世に積み重ねた無限の罪にもかかわらず、守護の神霊の加護のお蔭で、地獄に落ち
ずに済んでいる。一瞬一瞬地獄から救い上げていただいているのである。感謝あるのみ!

45一4

ここに いざなぎのみこと みかしこみて にげかへりますときに  
於是  伊邪那岐命    見畏而    逃還之時      
そのいもいざなみのみこと あれにはぢみせたまひつとまをしたまひて すなわち
其妹伊邪那美命      言令兄辱吾               即
よもつしこめをつかはして おはしむ
遣豫母都志許賣      令追

豫母都志許賣 : 黄泉醜女(よもつしこめ)であって、想像を絶した、言葉で言い表し
         難い、物凄い醜悪な性相の女という意味である。
         伊邪那美命の根本霊とも言えるものであって、女性は愛深いが故に、
         すべてを包容出来る立場におり(降り・下り・居り)、すべての苦を
         身代わりとなって振り替わることも出来るのである。汚れ役の姿の中
         にこそ愛の光は燦然と輝いているのである。

豫母都志許賣が違って来るというのは、幽界の完成のためである。顕界と幽界とは一切が正反対であるから、怒りの余りに追いかけて来るのは、愛の心で手を引かれて来るということである。前向きに追って来るのは、後ろ向きになって振り返り振り返りしながら、愛の光を投げかけてくるということである。発熱は人を苦しめる為のものではなくて、病を癒すための働きであるように、苦の中に愛の働きがあるわけである。夜眠っている闇に魂が浄められ、肉体は癒され、成長し、安らぎを与えられるのも、夜の闇の中に愛の大きな働きがあるからである。

 ヨモツヘグイして暗い方へ暗い方へと内聚している伊邪那美命を、見ないでという誓約を破って、後ろから尻の穴を覗くようにして見るというのは、ある一面からは大変な恥をかかせたということにもなるわけである。しかしこれも見方を変えれば、醜い尻の穴が、無限に尊い働きをしてくれる肛門様様であるわけである。誰にでも真似のできる容易な事ではない、何と無限に愛深い姿であることよと判ってくるのである。

 地獄に落ちて苦しんでいる衆生が、真実の救われの道に入る為には、ヨモツヘグヒ(暗く堕落してゆく)と反対の生き方に変化しなければならない。即ち光源に心を向けて、明るく向上してゆく生き方、光一元に感謝の心で受ける生き方にならなければならない。そうでなけれぱ、自分の醜態を見られるのを恥じて、反発して逃げるだけである。


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